店名の由来

珈琲屋チャペックの名前はチェコの作家、ジャーナリストのカレル・チャペックからとりました。チャペックはコーヒーとは直接関係はありません。コーヒーを好んで飲んでいたかどうかも分かりません。ただ、当時プラハにあった「ウニオン」というカフェには、足繁く通っていたようです。そこに集まる多くの知識人達と議論を交わしたり、また、その人達から沢山の情報を得ていたようです。

カフェはヨーロッパにおいてその誕生から今日まで文化的に重要な役割を果たしてきました。「ウニオン」もまた、そういったカフェのひとつだったわけです。「ウニオン」が閉鎖の危機に追い込まれた際、チャペックは新聞のコラムにて「ウニオンの閉鎖は 文化的記念碑の消失に他ならない」と積極的に訴えました。

おいしいコーヒー作りを目指す珈琲屋チャペックですが、ただ、それだけではなくヨーロッパのカフェのスタイルもまた目標のひとつです。もちろん堅苦しい話題ばかり提供しようとは思っていません。日常のささやかな話が楽しくできればいいのです。そして、いろいろな人達の情報交換の場となれればと考えています。

1985年の珈琲屋チャペック開店の少し前に、カレル・チャペックを知りました。当時は開店準備に追われていたわけですが、その合間にチャペックの諸作を少しずつ集め読んでいきました。そして次第にその面白さに引き込まれ、またその偉大さに大いに感心しました。
さて、店名がまだ決まっていませんでした。当時私は珈琲屋バッハの田口氏に師事しコーヒーの勉強をしていました。そして、少し前に珈琲屋ゲーテがオープンしていました。なるほど、人名を店の名前にするという手があったか!という訳で当時のめりこんでいたチャペックを店名にすることにしたのでした。

 
  カレル・チャペック
カレル・チャペック(1890〜1938)はチェコの作家、ジャーナリストです。
第一次世界大戦と第二次世界大戦の間に活躍し、多くのジャンルに優れた作品を残しました。とりわけ1920年に発表された戯曲「R・U・R」は有名で、この劇の中で初めて、人造人間が「ロボット」と名付けられました。
そのほか、子犬と悪戦苦闘する「ダーシェンカ」、マニアックな園芸についてのエッセイ「園芸家十二ヶ月」、兄ヨゼフの挿絵が有名な童話「長い長いお医者さんの話」、人間に飼いならされた山椒魚が進化し人間に対し攻撃をしかけるSF「山椒魚戦争」などがあります。


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